「イギリスって王様がいるのに民主主義なの?」——そう。しかも憲法が成文化されていない唯一のG7国だ。「慣習」と「先例」で動く英国政治の特殊性、そしてBrexitが何を壊したのかを知ると、チャーチルからボリス・ジョンソンまでの人物がぜんぜん違って見える。
英国政治の基本スペック
- 政体:立憲君主制+議院内閣制——国王は「君臨すれど統治せず」
- 成文憲法:なし——マグナ・カルタ(1215年)以来の慣習・法律・先例の積み重ねが「憲法」として機能
- 首相の選出:下院(庶民院)の多数党党首が慣行上首相になる(国王が任命するが実質的に党内選挙で決まる)
- 任期:規定なし——下院の信任を失うか、自ら辞任するまで在任できる(5年以内に総選挙)
- 上院(貴族院):世襲貴族・勅選貴族・聖職者。法案の拒否権はなく、最大1年の「遅延権」のみ
「不文憲法」の国——なぜ成文化しないのか

英国は「革命で権力を一から書き直す」経験をしていない(フランスは13回、米国は独立革命で書いた)。代わりに、ゆっくりと権力を王から議会へ、議会からより広い民主主義へ移してきた歴史がある。
主要な「慣習の積み重ね」:
・マグナ・カルタ(1215年):王は法の上に立てないという原則
・権利章典(1689年):議会の優越を確立
・議会法(1911年):貴族院の拒否権撤廃
・慣行:首相は下院議員であるべき(成文規定なし)
欠点は「慣習を無視する首相が出ると歯止めが効きにくい」こと。ボリス・ジョンソンの議会停会(2019年)はその典型で、最高裁が「違法」と判断した。
出典: 英国議会記録 / UK Supreme Court判決(2019年)
Brexit——英国が「EUから出た」本当の理由
| 時系列 | 出来事 |
|---|---|
| 2016年6月 | 国民投票:離脱52%・残留48%。キャメロン首相辞任 |
| 2019年7月 | ボリス・ジョンソン首相就任。「合意なきBrexit」も辞さないと宣言 |
| 2020年1月 | 英国がEUを正式離脱。移行期間へ |
| 2020年12月 | 貿易協力協定(TCA)締結。移行期間終了 |
Brexit票が集まった本当の理由は「EUへの不満」だけではなく、グローバル化と移民増加による「取り残された白人労働者層」の怒りの受け皿だったという分析が有力だ。
結果として:GDP成長率がG7最低水準に(IMF、2023年)、農業・医療・物流で労働力不足が深刻化、北アイルランド問題が再浮上。「350億ポンドをNHSに」という離脱派の公約は実現しなかった。
出典: IMF「World Economic Outlook」(2023年) / 英国統計局
📋 英国・人物列伝
| 人物 | ポイント |
|---|---|
| チャーチル | 1940-45・1951-55年・ハーロー校最下位→ダンケルク→勝利直後に落選→ノーベル文学賞 |
| サッチャー | 1979-90年・食料品屋の娘が「鉄の女」に——民営化・炭鉱スト封じ・フォークランドと人頭税 |
| ボリス・ジョンソン | 2019-22年・Brexit大型バスの嘘・パーティーゲート・辞任後ウクライナ英雄扱い——矛盾の人生 |
| メローニ(イタリア) | 2022年〜・極右出身のイタリア初女性首相・GCAP・高市早苗との連携とトランプ対立 |
出典: IMF「World Economic Outlook」(2023年)/ 英国議会記録 / UK Supreme Court



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