少子化対策3兆円、財源はこうなった

巨大な三段の天秤で、子ども支援の積み木と保険料の小さなコインを比較する比喩 話題

2023年4月、「異次元の少子化対策」の財源に社会保険料の引き上げが検討されるという報道が出た。そこから3年。対策の規模は3.6兆円で固まり、2026年度から医療保険料に上乗せする支援金も始まった。当時の見出しを、決まった制度と照らし合わせる。

「消費税増税になるのでは」という話も、「月500円」という話も同じ箱に入れてはいけない。予測の中には、方向は当たったもの、数字だけ外れたもの、まだ結果を待つものが混ざっていた。

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2023年4月〜2024年2月、この見出しが並んでいた

6本のうち、財源の結末を追える5本を判定する。岡山県の同窓会補助金は自治体の個別事業で、国の3.6兆円の財源とは別の話なので、今回の判定対象から外した。

【当たり】規模は「3兆円台半ば」に落ち着いた

2023年10月の見出しは「3兆円台半ば確保へ」だった。こども家庭庁が現在掲載する「こども未来戦略」は、加速化プランを総額3.6兆円と説明している。

3兆円台半ば → 総額3.6兆円
2023年の見出しは最終額をぴたりと当てたわけではないが、規模感としてはそのまま制度になった。ここは◎当たりとする。

「3兆円台半ば」は大げさな予告ではなく、後に政府が掲げた総額の近くに着地した。

【当たり】1兆円は支援金の最終目安になった

2023年5月の見出しは、3兆円のうち1兆円を社会保険料の上乗せで確保する方向だとした。厚生労働省の制度資料では、子ども・子育て支援金の総額は2026年度6000億円、2027年度8000億円、2028年度を目安に1兆円と段階導入する。

年度 支援金総額の目安
2026年度 概ね6000億円
2027年度 概ね8000億円
2028年度 概ね1兆円

当時の「1兆円」は、その場で一括徴収する額ではなく、段階導入の最終目安としてなら当たった。方向だけでなく、数字の着地点も残った。

【不正確】「2026年度に6000億円」は当たったが、徴収の意味が違う

2024年2月の見出しは「26年度に6000億円を徴収し段階的に引き上げ」とした。2026年度の総額が概ね6000億円という部分は、厚労省資料と一致する。一方、これは各個人から一律に6000億円を徴収するという意味ではない。

総額と個人負担は別の数字。
厚労省資料では、2026年度の平均月額は健保組合の被保険者1人あたり約550円、国民健康保険は1世帯あたり約300円、後期高齢者医療制度は1人あたり約200円とされている。加入制度や所得などで異なるため、「月500円」は全員共通の請求額ではない。

したがって判定は△不正確。6000億円という総額は当たったが、「徴収」の見出しは個人の請求額と混同させる余地を残した。

【外れ】消費税増税は、財源の決定にならなかった

2023年10月、経団連が消費税増税を求めたという見出しが出た。これは「増税が決まった」という記事ではないが、少子化対策の財源として消費税が現実になる可能性を読者に想像させる見出しだった。

「少子化対策財源確保のための消費税を含めた新たな税負担については考えておりません。」
— こども未来戦略会議の公式資料に掲載された政府方針

実際に制度化されたのは医療保険料とあわせて拠出する子ども・子育て支援金で、消費税の増税ではなかった。経団連の要望が存在したことと、政府の財源が消費税になったことは別である。ここは×外れとする。

答え合わせ一覧

2023〜2024年に言われていたこと 判定
少子化対策は3兆円台半ば ◎ 当たり(総額3.6兆円)
1兆円は社会保険料上乗せで確保 ◎ 当たり(段階導入の最終目安)
2026年度に6000億円を徴収 △ 不正確(総額は一致、個人額は一律でない)
少子化対策の財源に消費税増税 × 外れ(支援金制度で決定)

4項目中2項目は当たり、1項目は不正確、1項目は外れだった。当たったのは規模と方向で、外れたのは「一括で取る」ように見える数字と、消費税という財源の読みである。

出典

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