スポンサーリンク

安倍晋三とは何者だったのか——3回目の挑戦を許さなかった銃弾

featured 政治
電気代、見直した?変えるだけで月数千円

在任7年8か月。戦後最長の宰相は、2022年7月8日の昼、奈良市西大寺駅前で手製銃の銃弾を受け、その日の夕方に逝った。享年67。「賛否を超えた衝撃」と語られた最期は、彼が作り出した時代の複雑さをそのまま体現していた。

肩書は枚挙にいとまがない。しかし安倍晋三という人間を理解するには、家系・病気・スキャンダル・そして暗殺という4つの軸で見るのが早い。

この記事で分かる「へぇ」
  • 祖父は岸信介、大叔父は佐藤栄作——超エリート家系の「落ちこぼれ」だった
  • 第1次政権は1年で崩壊。「逃げた」と叩かれ、腸の難病を抑える新薬で復活した
  • 「アベノミクス」で株価は2倍に。だが実質賃金は8年間で下落するという結果も
  • 銃撃犯・山上徹也の動機は「旧統一教会で母が破産、家庭崩壊」——政治と宗教団体の癒着が白日の下に
スポンサーリンク

「岸信介の孫」として生まれた重さ

安倍家の政治的家系を表すイメージ

安倍晋三は1954年9月21日、山口県に生まれた。父・安倍晋太郎は外務大臣、祖父・岸信介は第56・57代首相(日米安保改定で知られるが、A級戦犯容疑者として収監後に釈放された人物でもある)、大叔父・佐藤栄作はノーベル平和賞を受賞した第61〜63代首相——という政界最高レベルの家系だ。

だが本人はエリートコースとは距離がある。成蹊大学法学部を卒業後、南カリフォルニア大学に留学するも中退。帰国後は神戸製鋼所に就職し、のちに父の秘書となって政界入りした。「自分の力でゼロから這い上がった」タイプではなく、家のレールに乗った——という自覚が、後年の「保守」への傾倒と無関係ではないとも言われる。

岸信介はかつて、孫の晋三が政治に向いていないと感じていたと伝わる。「安倍の家は政治家の家系だが、晋三は政治家になるタイプではない」という趣旨のことを周囲に語っていたとされる。その孫が戦後最長政権を築くとは、本人も予想していなかっただろう。

出典: 各種政治評論(一部関係者証言に基づく)

第1次政権の「逃亡」と、難病からの復活

2006年9月、52歳で第90代首相に就任。戦後最年少の首相として「美しい国、日本」を掲げたが、閣僚の相次ぐ問題発覚と消えた年金問題で支持率が急落した。

2007年9月、安倍は国会の所信表明直後に突然辞任を表明。「絶対に逃げた」と言われ、「病気を理由にした卑怯な退陣」と批判を浴びた。実際、その直後に潰瘍性大腸炎(指定難病)で入院している。

転機は一本の薬だった。長年の投薬でコントロールできなかった症状が、生物学的製剤「ヒュミラ(アダリムマブ)」によって安定。「あの薬がなければ第2次政権はなかった」と本人が後に語っている。

出典: 安倍晋三回顧録(中央公論新社, 2023年)ほか

2012年9月の自民党総裁選で5人の候補中1位だった石破茂を議員票で逆転し、12月に再び首相の座に就いた。「1度負けた男が戻ってきた」——この返り咲きが、第2次政権の特異な強さの源流になる。

アベノミクスの「正解」と「宿題」

アベノミクス3本の矢のイメージ

第2次政権の看板は「アベノミクス」だ。「3本の矢」——①大胆な金融緩和(黒田日銀による異次元緩和)②機動的な財政政策 ③民間投資を喚起する成長戦略——で「デフレ脱却と経済成長」を目指した。

結果は複雑だ。日経平均株価は2012年末の約8,500円から2020年退陣時には約23,000円へ。企業収益と雇用者数は増加した。一方、実質賃金は2013〜2020年の8年間でほぼ一貫して下落(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。「株は上がったが、給料は上がらなかった」という体感は的外れではない。

消費税は2014年に5→8%、2019年に8→10%と2段階で引き上げられた。いずれも安倍政権下の決断だ。特に2014年の増税直後にGDPが大きく落ち込み、「アベノミクスの逆噴射」と批判を浴びた。景気回復を自ら刈り取った、という評も根強い。

出典: 内閣府「GDP速報」/ 厚生労働省「毎月勤労統計調査」

安保面では2015年、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、安保関連法を成立させた。「戦争法案」として国会前で大規模デモが起きたが、政権は強行採決で押し切った。

「影」の3点セット——森友・加計・桜

「安倍一強」と呼ばれた7年8か月には、3つの大きなスキャンダルが付きまとう。

①森友学園問題(2017〜):大阪府の学校法人が国有地を約8億円も値引きされて取得した問題。財務省が公文書を改ざんしていたことが後に発覚。担当者だった近畿財務局の赤木俊夫氏が2018年3月に自殺し、妻が国などを提訴した。安倍は「私や妻が関係していたなら首相も議員も辞める」と答弁していた。

②加計学園問題(2017〜):安倍の友人が理事長を務める加計学園が獣医学部を新設した経緯に「総理のご意向」と書かれた文書が流出。「行政が歪められた」と野党が追及したが、政府は「怪文書」と否定した。

③「桜を見る会」問題(2019〜):首相主催の公的行事に後援会員など支持者を大量招待。前夜祭の費用の一部を政治資金で補填したとして公職選挙法・政治資金規正法違反の疑いが浮上した。

いずれも本人は「問題ない」「適切に処理された」と繰り返し、最終的に刑事訴追には至らなかった。「真相が明らかにならないまま」という積み残しは、暗殺後も続く議論の核心だ。

出典: 各種報道(2017〜2022年)

2020年8月、「潰瘍性大腸炎の再悪化」を理由に辞任。これが2度目の「病気辞任」だったが、今度は前回ほど激しい批判はなかった。「最長在任で燃え尽きた」という印象があったためだろう。

2022年7月8日——銃声と倒れた宰相

奈良市西大寺駅前の選挙演説イメージ

参院選の選挙期間中だった2022年7月8日午前11時半ごろ、奈良市西大寺駅前の路上で安倍晋三は応援演説中に銃撃された。山上徹也(当時41歳)が手製銃で2発発砲し、安倍は心肺停止状態で搬送。午後5時3分、死亡が確認された。

山上は即座に取り押さえられ、動機を淡々と語った。「母親が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信し、多額の献金で破産。家庭が崩壊した。安倍晋三は旧統一教会と深い関係があると認識し、それに憤慨した」——。

この事件をきっかけに、自民党議員と旧統一教会の関係が大規模に報道された。安倍本人は2021年に旧統一教会関連団体のビデオメッセージに登場していた。接点の深さに対する批判は現在も続く。

一方、山上の行為そのものは「テロ」であり、政治的暴力として断罪される。「動機に共感できる部分があっても行為は許せない」という複雑な感情が、追悼と批判が混在した世論を作り出した。

出典: 各種報道(2022年7〜12月)

同年9月27日には国葬が執行された。国葬の実施は閣議決定のみで決定され、国会審議なし。「民主主義の手続きを経ていない」として賛否が激しく割れた。会場の日本武道館周辺では反対デモが起きた。

まとめ:最長在任と銃弾が交差する評価

「戦後最長7年8か月の安定政権」「アベノミクスで株高・雇用増」——この面だけを見れば功績は明白だ。しかし「実質賃金の低下」「森友・加計の未解明」「統一教会との関係」「国葬の拙速な実施」が重なり、「評価が定まらないまま死んだ政治家」という難問を残した。

銃撃事件で明らかになった統一教会問題は、安倍という個人の評価を超えて日本の政治構造そのものを照らし出した。その意味で、安倍晋三の死は「終わり」ではなく「問いの始まり」になった。

アイキャッチ写真: 内閣官房内閣広報室(Wikimedia Commons, CC BY 4.0)を使用。
H2:生い立ちと「政治家一族」の血
H2:第2次政権とアベノミクス

コメント

  1. 安倍晋三を評価するといっているのにまとめ論評に外交/安全保障の項目がゼロって……。

  2. イーロン・マスク数日前にXに「彼らが私をナチと呼ぶ理由は、人々に私を殺害するよう促すためだ」と投稿してた。真実と関係無く憎悪の対象として報道し続ければ、誰かが実行してしまうだろう。トランプ大統領は生き残ってるけど。

  3. 自民党はアベノミクスを全然総括しないよな 総括したら同じ愚かなマネはぜったいしないと思うのに 二世議員、三世議員にアベノミクスを評価する力はないから、アベノミクスをいつまでたっても悪と評価できない これでは日本の地盤沈下は止まらないよ

  4. マスコミも野党もパヨクの安倍叩きは異常だったし
    後継者の高市にも、同じように敵意を剥き出しにしてる
    論理的思考が出来なくなるレベルで、憎悪してるからな

    連中にとっては、都合の悪い政策を進めているんだろう

タイトルとURLをコピーしました