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金属盗の検挙者、75%が外国人だった件 しかも8割が不法滞在wwww

政治

「金属窃盗の犯人は外国人ばかり」——SNSで定期的に流れる主張だ。これが本当か裏取りすると、警察庁の国会答弁に直接の数字があった。結論から言うと、74.8%が外国人、その8割が不法滞在。盛りでも何でもなく、警察庁が公式の場で答えた数字である。

ただし、注意点が1つある。これは「金属盗全体」ではなく「太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗」に限定した検挙人員の数字だ。前者の認知件数は令和6年で2万701件と過去最多、後者はその約3割(約4,000件)を占める部分集合になる。SNSで「金属窃盗の◯%」と語られるとき、出典のほとんどはこの「太陽光ケーブル盗」の数字を指している。

本稿では、①国会答弁の数字を一次資料で確認し、②国籍内訳と犯行構造を整理し、③令和7年に成立した「金属盗対策法」が何を狙っているかを見る。最後に、なぜカンボジア人が突出するのかという構造の話で締める。


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一次ソース — 国会答弁を直接引く

まず数字の出処をはっきりさせる。元になっているのは第217回国会衆議院内閣委員会議録第23号(令和7年5月23日)での警察庁答弁。これを参議院事務局企画調整室の『立法と調査』No.478(2025年9月29日刊)が要約・整理している。原文を引くとこうだ。

【参議院 立法と調査 No.478 注11より】

太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗の令和6年の検挙人員147人のうち外国人は110人で、検挙人員全体の約7割を占めている(カンボジア74人、日本人37人、タイ19人、ベトナム人8人、ラオス人5人、スリランカ人4人)。この外国人110人のうち、不法滞在である者は89人と、約8割を占めている。

数えると110 ÷ 147 = 74.8%。SNSで「75%」と書かれるのはここから来ている。しかも単なる外国人比率ではなく、その外国人の8割(89/110 = 80.9%)が不法滞在という二重構造になっている。


国籍内訳 — カンボジア人が圧倒的多数

注目すべきは、外国人検挙者の中身が均等ではないこと。カンボジア人だけで全体の半数を占めている。

🌏 太陽光ケーブル盗 検挙人員の国籍内訳(令和6年・全147人)
国籍 人数 全体比
カンボジア 74 50.3%
日本 37 25.2%
タイ 19 12.9%
ベトナム 8 5.4%
ラオス 5 3.4%
スリランカ 4 2.7%
合計 147 100%

出典: 第217回国会衆議院内閣委員会議録第23号(令7.5.23)警察庁答弁/参議院 立法と調査 No.478

外国人検挙者110人のうちカンボジア人だけで74人(67.3%)。タイ・ベトナム・ラオス・スリランカを足してもカンボジア1か国に届かない。「外国人犯罪」というより「カンボジア人による組織犯罪」と書いた方が実態に近い数字になっている。


金属盗が爆増した背景 — 銅価格2倍と太陽光バブル

そもそも、なぜ令和2年から急に金属盗が増えたのか。理由ははっきりしている。銅スクラップの価格が短期間で約2倍になったからだ。

📈 金属盗の認知件数 × 銅スクラップ価格 推移
金属盗認知件数 銅スクラップ価格(円/kg)
令和2年(2020) 5,478件 約600円
令和3年 7,534件 高騰開始
令和4年 10,368件
令和5年 16,276件 約1,131円
令和6年(2024) 20,701件 1,000円超で高止まり

出典: 警察庁「令和6年の犯罪情勢」金属盗対策に関する検討会報告書

令和6年の金属盗の被害総額は約140億円。窃盗犯全体の被害額(約789.3億円)の約2割を1犯罪類型で占めている。さらに金属盗の認知件数のうち約3割が太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗で、北関東4県(茨城・栃木・群馬・千葉)だけで太陽光ケーブル盗の約8割が起きている。

なぜ北関東に集中するか。これも単純で、太陽光発電所の立地が圧倒的に北関東に多いからだ。経産省のFITバブル期に農地転用で大量に建てられたメガソーラーが、無人かつ警備が薄いまま放置されており、銅線の塊として狙われている。


2025年の大型検挙ニュース — 1人で248件・3.1億円

数字だけだとピンと来ないので、2024〜2025年に動いた大型検挙を時系列で並べる。1検挙あたりの被害額が桁違いに増えているのが分かる。

📜 大型金属盗検挙 タイムライン(2024〜2025)
時点 事件
2024年11月 警視庁、タイ人窃盗団が盗品を持ち込んでいた銅線買取店を一斉捜索(時事通信)。買取側にもメスが入った象徴ケース。
2025年5月 国会で警察庁が「令和6年の太陽光ケーブル盗 検挙147人中110人が外国人」と答弁。これが本記事の元データ。
2025年6月 「金属盗対策法」(令和7年法律第75号)公布。スクラップ業者規制とケーブルカッター規制が柱。
2025年12月 茨城県警、坂東市のタイ人男(39)に対し銅線盗248件・被害総額3.1億円を裏付け(茨城新聞)。茨城・千葉県内で2022年5月〜2025年3月にかけて犯行。
2025年12月 福岡県警、ベトナム国籍の元技能実習生5人を「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」として逮捕。銅線約41トン・5,660万円相当を盗難(福岡TNC)。
同時期 カンボジア人4人による全国15都府県・68件・2.2億円相当の銅線盗が摘発(Japan Today報道)。

茨城のタイ人1人で248件・3.1億円、というのは個人の窃盗事件としては桁違いのスケール。これが意味するのは、検挙されている1人の背後に流通網(スクラップ業者・運搬・換金)が組み上がっているということ。令和6年の検挙147人という数字は、実態の氷山の一角と見るのが妥当だろう。


法律はもう動いた — 令和7年「金属盗対策法」の三本柱

この事態を受けて、令和7年6月に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(金属盗対策法/令和7年法律第75号)が成立した。施行は2段階で、防犯対策とケーブルカッター規制が令和7年9月1日、スクラップ業者規制は公布から1年以内に政令で定める日。三本柱はこうなっている。

⚖️ 金属盗対策法 三本柱
内容
① 換金を困難に 金属くず買取業者を許可制/届出制とし、銅線等の買取時に身元確認・記録保存を義務化。盗品の出口を絞る。
② 犯行用具を規制 指定金属切断工具(ケーブルカッター・ボルトクリッパー等)の正当な理由なき隠匿携帯を禁止。違反時は拘禁刑。金属ケーブル窃盗の犯行用具の84%がこのカテゴリ。
③ 防犯対策の周知 国・自治体・施設管理者に防犯情報の共有・周知を義務化。太陽光発電事業者への防犯指導の枠組み。
⚠️ 不法滞在外国人への上乗せ規制

②のケーブルカッター隠匿携帯罪で拘禁刑に処された外国人は、上陸の拒否・退去強制・出国命令の対象になる(同様の取扱いはピッキング用具携帯違反でも先行実施済み)。検挙された外国人110人の8割が不法滞在という実態を踏まえ、入管法の網も同時にかぶせる設計になっている。


なぜカンボジア人が突出するのか — 構造の話

最後に、なぜ国籍内訳でカンボジア人だけが突出するのかを整理しておく。これは「カンボジア人が金属を盗みやすい民族だから」という属性論ではなく、日本国内のクメール人ネットワーク構造送り出し国の経済格差の合成で説明できる。

要因1:技能実習・特定技能の周辺で滞留する不法残留。カンボジアからの技能実習生は2010年代後半から急増し、出入国在留管理庁の在留外国人統計によれば、2023年末時点でカンボジア国籍の在留者は約2.4万人、うち技能実習が最大の在留資格になっている。実習先からの失踪→不法残留→働き口を失った層が、スクラップ買取で現金化できる銅線盗に流れる経路が組み上がっている。検挙された外国人110人のうち89人(約8割)が不法滞在というのは、まさにこの層の沈殿を意味する。

要因2:同国籍ネットワークでの手口・売却先の伝播。警察庁の検討会報告書は「同じ国籍の者同士の知人関係等を通じて犯行手口や盗品の売却先などの情報が伝わり、犯罪グループが形成され、金属盗が広域的・組織的に敢行されている」と明記している。最初に犯行手口を成功させた数人を起点に、母国語のSNSグループで仲間を集め、北関東の太陽光発電所を共有マップで割り当てて夜間に動く——というオペレーションが成立しやすい言語コミュニティになっている。

要因3:母国の最低賃金との落差。カンボジアの月額最低賃金は2025年で約204ドル(約3万円)。日本のスクラップ買取業者で銅線1kgを売れば1,000円超になる。1日数百キロ運べば、本国の月収を1日で稼げる計算だ。この落差は他の東南アジア諸国でも同程度だが、上記の在留者構造(技能実習→失踪→不法残留)の規模感がカンボジアで特に大きいため、検挙統計に偏りが現れる。

逆に言えば、「外国人だから盗む」のではなく、「不法残留として日本国内に滞留した同国籍ネットワークが、銅高騰と太陽光バブルの隙間に組織化された」という順序になっている。法律で出口(スクラップ買取)と道具(ケーブルカッター)を絞ると同時に、入管法で不法残留→退去強制のラインを強化しないとループが切れない、というのが立法の設計思想だ。


まとめ

「金属盗の75%が外国人」という主張は、対象を「太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗」に限定した上で、令和6年の検挙人員ベースで74.8%(110/147)という形で正しい。SNSで切り取られて拡散している数字は、警察庁が国会で答えた一次情報だった。

内訳を見るとカンボジア人だけで全体の50%、外国人検挙者の67%を占める。さらに外国人検挙者の8割が不法滞在。この構造は「外国人犯罪」という抽象論より「不法残留したカンボジア人ネットワークによる組織犯罪」と書いた方が解像度が高い。

令和7年の金属盗対策法は、①スクラップ買取業者の規制、②ケーブルカッター隠匿携帯罪、③不法滞在外国人の退去強制、の三段構えで出口・道具・人を同時に絞る設計になっている。施行から1年で検挙数や発生件数がどう動くかは、令和7年〜8年の犯罪統計(令和8年8月公表予定)で答え合わせができる。


出典・参考:
参議院 立法と調査 No.478「金属盗対策法案の国会論議」(吉田徳仁/内閣委員会調査室、2025-9-29)
・第217回国会衆議院内閣委員会議録第23号(令和7年5月23日)警察庁答弁
警察庁「金属盗対策に関する検討会」資料
警察庁「令和6年の犯罪情勢」(令和7年2月)
茨城新聞「銅線盗248件裏付け 坂東のタイ人男 被害総額3.1億円」
福岡TNCニュース「『トクリュウ』ベトナム国籍の技能実習生5人逮捕」
時事通信「銅線買い取り店を一斉捜索 タイ人窃盗団」
・出入国在留管理庁「在留外国人統計」(2023年末)

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