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トランプがホルムズ通行料を「いいディール」扱いした理由

国際・安全保障

前回の記事では、日本が原油の一部を米国産へ振り替えるだけで、米国に年1.8兆円級の売上チャンスが出る、という話をした。

今回はその続きである。前回より少し性格の悪い話になるが、ホルムズ通行料の件はそこを避けると逆に分かりにくい。

主役は、トランプ氏がホルムズ海峡の通行料を「いいディール」っぽく見ていた件だ。いや、海に料金所って何だよ、という話ではある。

ただ、笑って終わらせるには少し怖い。言い方は雑でも、商売の勘としてはかなり本質を突いているからだ。

ホルムズ海峡は「守る場所」ではなく、「値段を付けられる場所」に見えていたのではないか。ここに気づくと、あれこれ一番儲かるのアメリカじゃね?という話になる。

要するに

ホルムズは海の急所。そこを守る名目ができると、護衛費、保険料、管理費、通行料の話が生まれる。

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ホルムズ海峡は、ただの海ではない

結論:世界の石油が通る細い道だから、値段を付けたくなる

ホルムズ海峡に大量のタンカーが集中し、世界の石油輸送の急所になっている構図
図の読み方:細い海峡にタンカーが集中しているほど、ここを守る側は強いカードを持つ。通りたい国が多いほど、値段を付けたくなる。

ホルムズ海峡は、世界の石油輸送の急所である。地図で見ると細いが、そこを流れているエネルギーと金額はまったく細くない。

IEAによると、2025年には原油・石油製品で日量約1,987万バレルがここを通った。

つまり、毎日とんでもない量のエネルギーが、細い海峡を通って世界へ流れている。

ここが止まると、日本、韓国、中国、インド、欧州の一部が普通に困る。ガソリン代だけでなく、電気代、物流、工場の稼働まで話が飛ぶからだ。

逆に言えば、ここを「守る」と言える国は、かなり強い交渉カードを持つ。こりゃアメリカ勝てねーわ、というより、勝たなくても食える場所を見ている感じがある。

つまり

みんなが通りたい道を握ると、「安全のために金を出せ」という話が作れる。

EUが拒否した理由はシンプル

結論:海に料金所を作る前例を認めたくなかった

自由航行の原則を理由に、海の通行料案を拒否する欧州側の構図
図の読み方:EU側の拒否は「払いたくない」だけではなく、海に料金所を作る前例を認めたくないという話。

Euronewsによると、欧州委員会はトランプ氏のホルムズ通行料案を拒否した。ここは、まあそうなるよね、という感じである。

理由は分かりやすい。EUが急に正義の味方になった、というより自分たちも困るからだ。国際海峡は、基本的に自由に通れるという建前で動いている。

そこで「通るだけで料金を取ります」を認めると、かなりまずい。一回ハンコを押したら最後、次から「前もやったよね?」と言われる。

ホルムズで認めたら、次は別の海峡でも同じ話が出る。世界の海が、いつの間にか料金所だらけになる。

たとえば

道路なら高速料金で済む。でも海でそれをやると、「自由に通れる国際ルール」が壊れる。

では、なぜ日欧に声をかけたのか

結論:みんなでやれば「米国の戦争」ではなく「国際事業」に見える

複数国を巻き込むことでホルムズ海峡の共同管理事業に見せる構図
図の読み方:米国だけでやると強引に見える。日欧も入れば「みんなで守る事業」に見える。そこに管理費や護衛費の名目が乗る。

Defense Newsなどによると、トランプ氏はホルムズ海峡を開くため、複数国に協力を求めた。日本や欧州からすると、いきなり面倒なLINEグループに招待された気分だろう。

表向きは「エネルギー航路を守れ」という話である。そこだけ聞くと、まあ分からなくもない。

でも、ビジネスマン的に見るともう一つの意味がある。日欧を巻き込めば、米国単独の軍事行動ではなく、国際的な航行安全の枠組みに見せられる。

そうなると、護衛費、管理費、通行料のような名目が立ちやすい。悪く言えば、請求書にそれっぽい名前を付ける作業である。

もちろん、日欧からすれば乗りづらい。乗った瞬間に「海の料金所」を一緒に作った側になるからだ。断ったのは冷たいというより、まあ普通に危険察知である。

要するに

米国だけでやると強引に見える。日欧も巻き込めば「共同で守っている」ように見える。

トランプ氏にとっては、かなり分かりやすい商売だった

結論:危ない道を守るなら、守る側が値段を付けたくなる

危険な航路を守る側が護衛や保険や通行管理の値段を付ける構図
図の読み方:危ない道を安全に通したいなら、誰かが守る。その瞬間、護衛費・保険料・管理費という請求書が生まれる。

トランプ氏の発想は、良くも悪くもかなり商売人である。国際秩序とか理念とか、そういう看板をいったん外して見ると分かりやすい。

危ない航路がある。でも世界はそこを通りたい。ならば、安全を提供する側が料金を取る。身もフタもないが、商売としてはきれいすぎる。

敗戦国としては、こりゃアメリカ強いわ、というより、アメリカずるいわ、という複雑な気分になる。戦争に勝つか負けるかの前に、危機そのものを商談に変えてくる。

ホルムズ危機は、米国にとって軍事負担であると同時に、エネルギー、防衛、保険、航路管理の商談にもなる。こちらが物価高でため息をついている間に、向こうは見積書を書いている。

つまり

トランプ氏はホルムズを「危ない海」ではなく、「金を取れる急所」と見たのではないか。

まとめ:ホルムズ通行料は、雑な思いつきではなかった

この記事で覚えるのは「海の料金所を作る話だった」でいい

ホルムズ通行料の話は、一見するとトランプ氏らしい雑な思いつきに見える。正直、最初はそう見える。

しかし数字と地図を見ると、そこまで雑でもない。世界の石油が通る急所に、安全保障の名目で関与し、そこに管理費や護衛費の名目を置くという話だからだ。

EUが拒否したのは当然である。
それを認めると、国際海峡に料金所を作る前例になる。

ただ、米国から見れば話は別だ。危ない海を守り、困っている国に代替エネルギーを売り、必要なら防衛装備も売る。ついでに保険や護衛の値段も上がる。

長々説明したが、持ち帰る一言はこれでいい。「ホルムズ通行料って、要するに海の料金所ビジネスじゃね?」 小泉構文みたいな言い方になってしまったが、だいたいこういう話である。そう見えたなら、この記事の役目は果たしているし、あれこれ一番儲かるのアメリカじゃね?と思った人は、たぶんだいぶ近いところを見ている。


出典を開く

Euronews「EU rejects Trump’s ‘joint venture’ with Iran to charge ships through Strait of Hormuz」(2026年4月9日)
The Hill「Trump floats joint venture over Strait of Hormuz」(2026年4月)
Defense News「Trump asks about seven countries for help to open the Strait of Hormuz」(2026年3月16日)
IEA「Strait of Hormuz」ファクトシート(2026年2月更新)

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