前回の記事では、ホルムズ通行料が「海の料金所ビジネス」に見える、という話をした。
今回はその続きである。テーマはガソリン価格だ。
ただし、よくある「ガソリン200円で日本終了!」みたいな話ではない。そこはたぶん、そんなに素直には上がらない。
というより、足元の数字を見ると話はもう少しいやらしい。2026年4月20日時点のレギュラー全国平均は169.5円/Lだが、補助金がなければ205円/L前後という試算になっている。
つまり、店頭の値札は170円前後に見えている。でも裏では、すでに200円台相当の差額を別会計で払っている。これが今回の本題である。
ガソリン200円煽りは少しズレている。問題は「200円になるか」ではなく、「200円相当の差額を誰が払っているか」である。
ガソリンは200円になっていない。でも、200円相当との差額はもう誰かが払っている。
ガソリンは、もう200円相当まで来ている
結論:値札は169.5円。でも補助なしなら205円前後

2026年4月22日に公表された資源エネルギー庁調査ベースの記事によると、4月20日時点のレギュラーガソリン全国平均は169.5円/Lだった。
ここだけ見ると、「なんだ、まだ170円くらいじゃん」となる。実際、スタンドの値札だけ見ればそうだ。
しかし同じ記事では、4月23日から29日の補助額は30.9円/L、補助なし価格は205.0円/Lと整理されている。つまり、200円台は「未来の恐怖」ではなく、すでに裏側の計算には出ている。
ここがポイントである。ガソリンは上がっていないように見える。でも実際には、補助金で値札を押さえているだけだ。スーパーの値引きシールと同じで、安く見えるからといって原価が消えたわけではない。
店頭価格は169.5円。でも補助なしでは205円前後。つまり「上がってない」のではなく「見えない場所で払っている」。
政府は「170円前後」に見せにいく
結論:ガソリン価格は政治的に上げっぱなしにできない
ガソリン価格は生活への刺さり方が強い。通勤、配送、地方の買い物、農業、建設、全部に関係する。
だから政府は、ここを放置しにくい。FNNも、政府補助金の効果で170円前後の水準が続いていると報じている。
NRIの木内登英氏も、補助金はレギュラー全国平均が170円程度を上回らないように実施されている、と整理している。つまり、政策の狙いはかなり分かりやすい。
値札は守る。だが、そのために補助金を積む。ここで国民の財布は、ガソリンスタンドではなく税金側から開けられる。
「170円で済んでよかった」ではなく、「差額30円分はどこから出ているのか」を見る話である。
表の値上げより、裏の調達変更が本命
結論:日本はガソリン代ではなく、輸入先の変更で払う

前回までの話とつなげると、ここが本丸である。
ホルムズが危ない。日本は中東依存を下げたい。では、どこから買うのか。そこで米国産原油や、ホルムズを通らない調達ルートの出番が増える。
米国から見れば、これはかなり良い商売だ。ホルムズを「守る」話で影響力を持ち、同時に日本や欧州へ代替エネルギーを売れる。
だから、ガソリンが上がるかどうかだけを見ると少しズレる。小売価格は抑えられても、輸入コスト、補助金、備蓄の再積み増し、防衛協力という形で、別の支払いが発生する。
正直、ここが一番いやらしい。国民には「ガソリンは守りました」と見せられる。でも裏では、調達先の変更で別の国が儲かる。
ガソリン200円で騒ぐより、「補助金の差額」と「誰から原油を買うことになるか」を見た方が、アメリカの儲け筋が見える。
まとめ:ガソリンは上がらない。でもタダではない
この記事で覚えるのは「値札を抑えると請求書が裏に回る」でいい
ホルムズ危機でガソリン価格が一気に跳ねる、という見方は分かりやすい。しかし現実には、政府が補助金で小売価格を抑えに行く可能性が高い。
足元でも、店頭価格は169.5円/Lに抑えられている一方、補助なしなら205円/L前後という計算が出ている。つまり、ガソリン200円は「まだ来ていない未来」ではなく、「見えないところで処理している現在」でもある。
そして、補助金だけでなく代替調達先として米国産原油が増えるなら、前回までの話とつながる。戦争に勝つか負けるかとは別に、危機のたびに米国の売り物が増える。
長々説明したが、持ち帰る一言はこれでいい。「ガソリンは上がらない。でももう払っている」。そう見えたなら、ホルムズ危機のいやらしいところはだいたい掴めている。




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