2020年6月30日夜11時、香港基本法が「2047年まで50年間変えない」と約束していたはずの自由の中身が、事実上その日で書き換わった。香港の立法会(議会)は一度も審議しないまま、北京の全人代常務委員会が可決した「国家安全維持法」が即日施行された。
施行からわずか数時間後、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)らが率いていた民主派団体「香港衆志(デモシスト)」は解散を発表した。政治団体が法律の可決を知ってから解散を決めるまでに、丸1日もかからなかった。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授権決定 | 2020年5月28日、全人代が常務委への立法権限付与を可決 |
| 可決・施行 | 2020年6月30日、可決同日23時に施行 |
| 香港立法会の関与 | なし(香港基本法付属文書IIIへの追加という形で成立) |
| 対象犯罪 | 国家分裂・国家政権転覆・テロ活動・外国勢力との結託の4類型 |
| 最高刑 | 情状が重い場合、無期懲役 |
「香港の議会を一度も通さない」という異例の立法手順
通常であれば、香港域内の法律は立法会での審議・可決を経る。だが国家安全維持法は習近平体制の主導のもと、北京の全人代常務委員会がまず起草し、香港基本法の付属文書IIIに直接追加するという手続きで成立させた。香港側の立法プロセスにも、香港市民の意見聴取にも、一切かからなかった。
2020年6月30日午前:全人代常務委員会が国家安全維持法を可決
同日午後:香港基本法付属文書IIIへ編入、香港での施行を確定
同日23時:法律が香港で正式に施行
数時間後:香港衆志(デモシスト)が解散を発表、ウォン氏ら幹部が組織を離脱
2026年になっても、この法律で人は裁かれ続けている
国家安全維持法は過去の出来事ではない。デモシスト解散から6年が経った2026年になっても、ジョシュア・ウォン氏は同法に基づく2件目の起訴(外国勢力との結託の疑い)で審理を受けており、9月に判決を控えている。2020年に「施行された日」で終わった話ではなく、今も現役で運用され続けている法律だという点は見落とされやすい。
| 時期 | ジョシュア・ウォン氏の状況 |
|---|---|
| 2020年6月30日 | 香港衆志(デモシスト)解散、幹部から離脱 |
| 2024年 | 非公式予備選挙をめぐる事件で有罪を認め、懲役4年8カ月 |
| 2026年 | 2件目(外国勢力との結託容疑)の審理中、9月に判決予定 |
まとめ
「50年間変えない」という1997年の約束から、まだ23年しか経っていなかった。一国二制度は正式に廃止されたわけではない。だが、それを支えていた表現・結社の自由の実質は、この一晩でほぼ失われた。
全体像は【香港】「50年不変」の約束はなぜ23年で終わったのかで概観できます。
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